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「ボブ・グルーエンと100人のロックレジェンド」展@パルコミュージアム(池袋)に行ってきました。

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池袋のパルコミュージアムで開催されていた「ボブ・グルーエンと100人のロックレジェンド」展に行ってきました。

「ボブ・グルーエンと100人のロックレジェンド」展@池袋パルコミュージアム

写真撮影OKの写真展でしたので、撮ってきた写真も載せますね。

今回は、ボブ・グルーエンの写真集『ROCK SEEN』が日本で発売されるのを記念して開催される写真展なのだそうです。
ボブ・グルーエンと言えば、ジョン・レノンの写真が、あまりにも有名なのではないでしょうか。

ジョン・レノン Photo by ボブ・グルーエン
「NEW YORK CITY」と書かれたTシャツを着ている、この写真も。

ジョン・レノン Photo by ボブ・グルーエン
自由の女神の前で同じポーズをとる、この写真もボブ・グルーエンの撮影。
どちらも「ジョン・レノンと言ったらこれ!」っていう感じの2枚!

John & YOKO Photo by ボブ・グルーエン
ジョンとヨーコさんの私設カメラマンだったそうですが、ヨーコさんがとてもリラックスして笑っている写真などは、本当に心を許している関係が伺えます。
他にも、ジョン・レノン関係の写真は豊富で、ヨーコさんとショーン君、そしてジュリアンとシンシアさんの4人の写真などもありました。

いろいろなジャンルのロックのミュージシャンの写真があったのですが、パンクも充実していました。
ロンドン・パンクは、2大バンドと書かれていたので、「また無いのかなぁ?」と思っていたのですが、その2大バンド、ピストルズとクラッシュの間に、、、見つけてしまいました。
The Damned Photo By Bob Gruen
この写真を。。。
しばらく、じーっと見つめてしまいました。(ないと思っていたので)
ちょっとおもしろい表情をして、ギターを構えているフリをしているような若き日のデイブ・ヴァニアン様と、本当にギターを(ライフルかなにか、銃のように?)構えている若き日のラット・スケイビーズです。
ということは、後ろにちらっと写っているドラムスティックを握っているのはキャプテン・センシブルかと思われます。

Soo Catwoman Photo by ボブ・グルーエン
こちらはSoo Catwoman。
彼女は、ロンドン・パンクのアイコン的な人です。
実は、モーガン・フィッシャーさんが一時期シェアハウスで一緒だったことがあるそうで、モーガンさんのロックのお話を聞く会で、彼女のお話も聞きました。
こんな風に写真に撮られたりしているけれど、一般人で、お金をもらっていないのだそう。
なんか、そういう人、多いですね。
あ、ボブ・グルーエンがどうかっていうのは、わからないけど、ここにあるってことはちゃんと払っているのでは?と思います。
そして、「ロック・レジェンド100人」に選ばれていないミュージシャンも多い中、一般人の、ミュージシャンでもモデルでもない彼女が選ばれているのもすごい。

マルコム・マクラーレン Photo by Bob Gruen
▲マルコム・マクラーレンも、紛れ込んでいた!

ボブ・「グルーエンと100人のロックレジェンド」展
▲会場は迷路とまではいかないけれど、入り組んでいておもしろかったです。
ロンドン・パンクの壁ではシド・ヴィシャスが特に印象的に飾られていました。

「ロック・レジェンド100人」というので、本当にたくさんのミュージシャンの写真が飾られていたのですが、大きな写真はなかったのに、ジョン・レノンと、デヴィッド・ボウイと、そしてティナ・ターナーと、という具合に、他のミュージシャンとの2ショットであちこちに登場していたミック・ジャガーがおもしろかったです。

後は、わたしの選ぶ人は大体決まってますよね。

Boy George Photo By Bob Gruen
若き日のBoy George、とても可愛い♪

Marc Bolan Photo By Bob Gruen
マーク・ボランも、とても可愛い。

ふたりとも、すごく自然な笑顔で、リラックスしているのがわかる写真ですね。
ボブ・グルーエンは、ロック好きなのでミュージシャンと友達になって、そんな中で何気ない一瞬をとらえるのが上手いカメラマンなのだそうです。
この2枚もそういう写真ですね。

プレスリーやら、マーヴィン・ゲイやら、わたしの好きなミュージシャンが影響を受けてきたであろうミュージシャン、ロック・レジェンドの写真がたくさんありました。
また、今回はノーベル賞を受賞したボブ・ディランが目玉っぽかったけれど、ロンドン・パンクもNYパンクも充実していました。
そう言えば、入り口の近くにビデオが流れているところがあり、鮎川誠さんがボブ・グルーエンに関するエピソードを話されているのを見たのですが、ボブ・グルーエンは日本にしばらく住んでいたらしく、その頃、東京に住んでいる方が、ミュージシャンがどんどん来日して、仕事が出来ると言っていたとか、いろいろなミュージシャンとつないでくれたエピソードなども、とてもおもしろかったです。
フジロックの写真も撮っていたそうで、フジロック’17のリストバンドを持ってくれば入場料無料というのもありました。

ジュークボックス ROWE / Ami JBM-200
▲「ROWE/Ami JBM-200」というジュークボックスが置いてあり、曲を選んでかけることが出来ました。

そう言えば、今年は、ロック系の写真を撮っているカメラマンの写真展が多いですね。
いろいろ観に行けるのは嬉しいな♪
今回のボブ・グルーエンも、有名な写真から、初めて見るダムドの写真まで、大満足の内容でした。

Rock Seen

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ハービー山口さんの写真展「That’s PUNK」&ギャラリートークに行ってきました。

ハービー山口さんの写真展That’s PUNK」の最終日(今日)、ギャラリートークがあるというので、行ってきました!

ハービー山口「That’s PUNK」展@BOOKMARC
今回は、写真集『You can click away of whatever you want: That’s PUNK』の発売を記念して、マークジェイコブスが手掛ける本屋さん「BOOKMARC」の地下のギャラリーで写真展が開催されていました。
同時期に、パリでも写真展が開催されているそうです。
パリは少し規模が小さくミュージシャンの写真中心ということでした。
そう言えば、ギャラリートークの中でも話されていたのですが、写真を飾っていたら、10枚ほど多くて残ってしまい、前のイベントで靴を展示していた台の上に写真を置いてみたら良かったので、そのまま使わせてもらったそうです。
「おもしろい展示方法だなぁ」と思って見ていたので、そんないきさつがあったのは興味深かったです。

ハービー山口「That’s PUNK」展@BOOKMARC
写真集のタイトルになっている言葉「You can click away of whatever you want: That’s PUNK」は、ハービーさんがロンドンの地下鉄で偶然出会ったジョー・ストラマーさんに「写真を撮っていいですか?」と聞いたら、答えてくれた言葉なんですよね。
「撮りたい時に撮れ!それがパンクだ!」

ハービー山口「That’s PUNK」展@BOOKMARC
ギャラリートークが始まる直前に、視線を感じて振り返ると、入り口の上の踊り場からハービーさんがカメラを構えて手を振られていました!写真に写ってるかなぁ?
ギャラリートークは、ハービーさんが現れ、紹介され、話し始められると、、、どんどんそのまま話が進んでいき、すっかりハービー・ワールド?!
身長184センチのリトル・ハービーさんのお話は、とても楽しくすっかり引き込まれてしまっていました。
そう言えば、後で、その頃のハービーさんが自分で撮ったお写真を見せてもらったのですが(一応前に見たことはある)黒髪のちょっと長髪で、なかなかのイケメン、たどたどしい英語で一生懸命会話しようとしてくれて、素敵な写真を撮ってくれたら、PUNK GIRLにモテるのは当然でしょうね。確かに、小柄でいかにも日本人って感じなのも良かったのかも。

ハービー山口「That’s PUNK」展@BOOKMARC
そもそも、ハービーさんがロンドンに行かれたのは、就職活動でどこにも決まらなかったからで、その時、落としてくれた会社は「先見の明があった」というお話はすごい!
確かに、その時、どこかに就職が決まっていたら、今のハービーさんはいないわけです。
運命って、凄いな。。。
わたしは、ハービーさんほどお話が上手じゃないので、ちょっと種明かししちゃいますが、最後に決め言葉がありました。
写真は、ネガをポジにする
今回のギャラリー・トークは、初めはネガティブなことだったのに、結果としてポジティブに変わることがある、変えることができるというお話でした。
そして、ネガをポジにするのは写真なんですよね。すごい!

ハービー山口「That’s PUNK」展@BOOKMARC

それぞれの写真についての想い出やエピソードを話してくださいましたが、一番印象に残っているのは、パンツ一枚の女性の後ろ姿の写真のエピソード。
実は、その女性は、その当時のハービーさんのガールフレンドだったそうなのですが、、、一時期、シド・ヴィシャスのガールフレンドだったこともある人だとか。(あれ?シド・ヴィシャスだったかな?とちょっと不安に)
その人が、ヴィヴィアン・ウエストウッドとケンジントンのゲイ・バーに飲みに行く約束をしていたんだけど、ピアスを失くしてしまった。実は、彼女は小さい子供がいて、その子にパジャマも買えなくて、自分のTシャツを安全ピンで留めて着させていたのだそうだ。そして、失くしてしまったピアスの代わりに、その安全ピンをつけて、ヴィヴィアン・ウエストウッドに会ったら、ヴィヴィアンに気に入られて、今では安全ピンがパンク・ファッションのモチーフのひとつになっているというはじまりのお話。このエピソードは、あんまり知られていないんじゃないかと思います!
これも、彼女が子供にパジャマも買えなくて自分のTシャツを安全ピンで留めて着させていなかったら、ピアスを失くさなかったら、ピアスの代わりに安全ピンをつけなかったわけです。
ネガティブなことが、その後、安全ピンがパンク・ファッションになるというポジティブな現象を起こしているわけですよね。

それから、わたしが写真展の会場に入るなり、引き寄せられたのが、ダイアナ・スペンサーさんの写真でした。
故ダイアナ妃です。
その写真は、まだ妃に決定する半年くらいも前で、たまたまダイアナさんの住んでいたマンションの住民に知り合いがいて、最近数人のパパラッチが彼女をマークしているから「撮ってみれば?」と、情報を教えてもらったのだそうです。彼女の車が停まっている場所や、毎朝出掛ける時間まで教えてもらったので、彼女の車の前で待っていて、至近距離から写真を撮ることが出来たのだそうです。
しかも、ちょうど記者の人が来ていて、車に乗り込んだダイアナさんに「可能性はありますか?」と聞いたところ、まだ一般人でマスコミ嫌いでもなかったダイアナさんは、丁寧に車の窓まで開けて対応してくれたのだそうです。だから、窓越しじゃなくて、至近距離で撮れているんですよね。
これは、「撮りたいものは、撮っておくのが大事」っていうお話でした。
たしかに、、、あります。何故、あの時、一枚も撮らなかったんだろう、ということが。
ブログなどに載せるつもりじゃなくても、記録として一枚くらいは撮っておいても良かったんじゃないか、っていうこと。。。
もちろん、マナーも大事なんですが。。。むずかしいところです。

ハービー山口「That’s PUNK」展@BOOKMARC

それから、もちろんボーイ・ジョージの写真!
一枚は、部屋でジョージが寝ていて、家主のジーンさんに「早く起きなさい!」と怒られているところらしいです。
ジョージは、お化粧していないので、眉がない。。。
部屋には、マーク・ボランとマリリン・モンローのポスターと、フォトフレームに入ったデヴィッド・ボウイの写真、髑髏がふたつ。。。
この写真を撮ったのは、ニコンのカメラでシャッター音が大きいので、ジョージに気付かれてしまったのだそうです。
なので、その写真は、たったの2枚しか撮っていないらしいです。
というか、それでも2回シャッターを切っているハービーさんが凄い。。。
後の2枚は、ジョージがバスタブで洗濯をしているところと、カメラ目線のナチュラルな写真。
たしか、この2枚の写真は、カルチャークラブで売れて日本に来た時に、ジョージに見せたら「これ、初めて見る」と言ったっていう写真じゃなかったかしら?
今回は、ジョージがすごく喜んで、インタビューなどで売れなくて貧乏だった話をしても誰も信じてくれなくて、「ハービーが貧乏だった時代の写真を撮っていてくれた」と見せて回っていたというエピソードを話してくださいました。
ジョージは、売れなかった時代を知っているハービーさんを、とても特別な存在と思ってくれているようですね。
今回の写真展で写真を使うのも、Twitterでやり取りされて、すぐにOKの返事をくれたそうです。


女王陛下のロンドン (講談社文庫)
▲表紙の写真が「ギャラクシー」と呼ばれているハービーさんの代表作。
これは、ちまちまと読んでいます。
これに、前述のハービーさんの若い頃のセルフポートレートも載っていますね。

他にも、寺山修司さんに褒められたギャラクシーという写真の話もおもしろかったです。
そして、ロンドンに来て9年経ち、(寺山さんにも褒められて)日本に帰ろうかな?と思ったときに、出会ったのが糸井重里さん。その糸井さんが日本に帰ってから「ロンドンにハービーっていうカメラマンがいる」っていう話をしてくれて、菊池武夫さんが仕事で呼んでくれて帰ることになったというお話もおもしろかったです。だって、糸井さん、、、ハービーさんの写真を見ていなかったのだそうです。
それから、何故か、その頃、スリッツというパンクバンドの写真を撮っていたら、メンバーになることになってしまい、ミュージシャンの組合に登録しに行った話もおもしろいです。だって、そのバンドがクラッシュの前座でツアーすることになっていて、そのツアーと、菊池武夫さんの仕事で帰国する日程が重なっていたので、周りの人に、どっちを選んだらいいかと相談して回ったのだそうです。
結局、写真を撮るためにロンドンに来ていたんだから、カメラマンとして日本で仕事をしに行くということになったそうです。いや、普通そうです。
そんなわけで、ミュージシャン組合に入ったけれど、ミュージシャンとしてステージには立たなかったそうです。
だがしかし、、、吹奏楽部でフルートを吹いていたから、そしてフルートを持っていたから、フルートでパンクバンドに参加って、おもしろ過ぎるので、見てみたかった!
あと、菊池武夫さんと糸井重里さんに、日本に帰ってくるきっかけを作ってくれたお礼をずっと出来ていないくて、つい2~3年前にやっとお礼を出来たのだそうです。
そうしたら、「あなたの才能でしょう」と言われたのだとか。
お二人とも、全然、恩着せがましいところがなくて、すごい人は違いますね!
これも素敵なエピソードでした。

そんな感じで、なかなか濃ゆい体験のお話を聞いたのですが、やはり、パンクに限らずかもしれないけど、ロンドンのミュージシャン仲間の世界って、狭いな。。。
さっきのスリッツのリーダーの女の子も、その子のお母さんが、パンクの有名ミュージシャンの彼女だったとか。。。
なんかもう、、、狭くて、濃ゆくて、混乱しそう。。。いや、混乱してる。。。

良い写真とは? 撮る人が心に刻む108のことば (SPACE SHOWER BOOks)

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最後に、忘れちゃいけない話を。
FMだったかの番組に出られた後に、番組に来たメールが転送されてきたのだそうです。
それは、トラック運転手をしている男性からのメールでした。
その人は、カメラマンになりたくてカメラを持って世界中を旅したのだそうですが、カメラマンになれず、日本で家族が出来て養うためにトラック運転手をしているのだそうです。
ハービーさんの話を聞いて、「今からでも遅くはないだろうか?」と思い始めた、と。
番組は終わってしまっていて、返事をすることも出来なかったので、機会があるたびに、その話をしているそうです。
そうしたら、ある人が、自分の店の地下のスペースが空いているので、ギャラリーをやろうと思っていて、第一弾にはそのトラック運転手の人の写真展をやりたいから、「ハービーさん、絶対その人を探し出してくださいね」と言われているのだそうです。
ハービーさんの、そのトラック運転手さんへの答えは、もちろん「今からでも遅くない」。
トラック運転手さん、お仕事は忙しいだろうけれど、ハービーさんのメッセージが伝わるといいなあ。

そして、最後に「写真は、ネガをポジに変えるんだよ」という名言。。。
これも、ハービーさんが、どなたかに言われた言葉なのだそうですが、、、ぴったり過ぎる。。。

やばい!YACCOさん登場!さすが表参道のヤッコさん! 本当、このフットワークすごい!

ちあぼんさん(@cheersbon)がシェアした投稿 –

それから!ギャラリートーク後、集まった人たちがサインをしてもらったり、写真を撮ってもらったりしている中、、、
その中に、表参道のYaccoさんが!本当にフットワーク軽いです。
会いたい人には会いに行く!そのパワー!そのフットワーク!
撮りたいものは撮る!その瞬発力!
そして、ネガをポジに変える!ポジティブ・シンキング?!
見習いたい、素敵な大人たち!
今日は、本当にハービーさんのお話が聴けて良かった!

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写真に生命を吹き込んだ女性「ジュリア・マーガレット・キャメロン展」が良かった。@三菱一号館美術館

ジュリア・マーガレット・キャメロン展@三菱一号館美術館
▲ポスター

ちょっと前なのですが、妙に気になっていた「ジュリア・マーガレット・キャメロン展」という英国の女性写真家の写真展に行ってきました。

気になっていたポイントは、「英国」「女性写真家」「三菱一号館美術館」の3つです。
あと、名前を知らない写真家さんで、でもポスターの写真がとても雰囲気があって、、、やはり英国女性というところが魅かれました。

さて、行ってみますと、なんとこのジュリアさんは、カメラを手にしたのが48歳だというのです!
びっくり!まだ追いつけない!
そこからの話を聞いてみても、バイタリティーの凄さや、確信犯的な写真の撮り方など、とてもおもしろいです。
あと時代がヴィクトリア朝なのもおもしろいのですが、そうですね、ビアトリクス・ポターよりちょっと前の人ですよね。
この時代の女性たちは、自分のやりたいことをどんどん突き詰めて仕事にしていくのが凄いですね!
また、妹さんがサロンをやっていて、文化人が集まっていて、そこの詩人や彫刻家にモデルになってもらったり、アドバイスをもらったり、また本の挿絵となる写真を注文されたりという人間関係も非常に興味深いと思います。

ジュリア・マーガレット・キャメロン展@三菱一号館美術館
聖書などの言葉をテーマにした連作 このように写真を撮ってもよいゾーンがあり勉強になります。

もちろん、わたしとしては、その確信犯的な写真の撮り方が、とてもおもしろかったです。
写真を撮る人は、是非、見ておいていいのではないでしょうか?
ちなみに、写真展なのに、途中で写真を撮ってもいいゾーンがあり、一眼レフを持って来ている人もありました。
写真撮っていいなんて知らなかったから、iPhoneしかなかったので、ちょっと残念です。

ヴィンテージ・プリント ジュリア・マーガレット・キャメロン展@三菱一号館美術館
▲ポスターにもなっている写真のヴィンテージ・プリント
モデルは、美人揃いの姪のひとり。

さて、ジュリアさんのどこが確信犯的かと言いますと、まずこの時代は、まだ写真は記録を残すツールだったのです。
ところがジュリアさんは、わざと焦点をぼかすというか、あわさないということをやってしまいます。
確信犯でやっています。
しかも、これをやった最初の人なのだそうです。
だけれど、この時代では、「失敗写真ではないか?」と言われてしまうんですね。
ぼけていたら、記録になりませんものね。
つまり、このことが、写真を記録する媒体から、芸術へと高めたとも言えるのですね。

不思議の国のアリス」の著者ルイス・キャロルも同時代の人で、交流があったエピソードがおもしろかったです。
ルイス・キャロルは、少女の写真を撮っていました。(少し不安。。。)
その写真のモデルをめぐり、ジュリアは「その少女をピントをぼかして撮りたい」と言い、ルイス・キャロルはジュリアのモデルを「ピントをあわせて撮りたい」と言ったそうです。
ルイス・キャロルが本名のチャールズ・ドジソン名義で発表している写真など、同時代の写真家の写真も展示されているのも、おもしろいです。

ジュリア・マーガレット・キャメロン展@三菱一号館美術館
▲髭の男性はアルフレッド・テニスン。

ジュリアさんは、そもそも写真のテーマも違っています。
聖書や、それを元に描かれた名画などをヒントに、モデルに衣装を着せ、小道具も持たせ、そのシーンを再現し写真に撮っているのです。
先ほど、ちらっと書いたモデルですが、ジュリアの家の召使いや、姪などもモデルになっています。
この姪が美人揃いなんですよね!
しかも、このうちの一人は、後にバージニア・ウルフを産んでおり、バージニア・ウルフがジュリアのことを戯曲にしていたりするそうです。(戯曲『フレッシュ・ウォーター』)
姪たちもおもしろいのですが、男性の方は、サロンの文士だったりするわけです。
このように衣装を着て、小道具を持ってモデルになることで、批判されるかもしれない。
それほど、ジュリアのやっていることは先駆的だったのですが、その批判を恐れず、モデルになってくれたそうです。
やはり芸術への理解があったのか、本当におもしろいと思ってやってくれていたのでしょうね。
そして、わたしたちは、その写真が残っていることで、彼らの顔を観ることが出来るというのもおもしろいです。
ジュリアは、アルフレッド・テニスンジョージ・フレデリック・ワッツと言った芸術家の他にも、チャールズ・ダーウィンジョン・ハーシェルといった有名な科学者の肖像写真も撮っています。
肖像写真も多く撮っていて、やはり、ソフトフォーカスで個性を出しています。

ジュリア・マーガレット・キャメロン展@三菱一号館美術館
▲髭の男性は、彫刻家のジョージ・フレデリック・ワッツ
写真の中では、バイオリンを持ち音楽家を演じ、ミューズ(右の女の子)がひらめきを与えている!

モデルでとても興味を引いた人があったのでそのエピソードも残しておきます。
アイルランドからの移民で、物乞いをしていた母子を召使いとして、連れ帰ったりしてるんですが、その理由が「美人だから」らしく、完全に写真のモデルにする気だと思います。
実際、美人で写真のモデルもしていて、サロンなどに出入りしていた東インド会社の社員の人と知り合い結婚し、後年は裕福な生活をしたようです。
なんというシンデレラ・ストーリー!

そうそう、写真を撮る際に、後ろから光を当てたり、傘を使って光を遮ったりしていて、写真のいくつかには傘を持つ手や人が写っていたりするのもおもしろいです。
最後に、後ろから光を当て、ソフトフォーカスで写真が撮れるブースもあったのですが、ひとりじゃ撮れないので断念しました。ちょっと残念。。。

ジュリア・マーガレット・キャメロン自身が焼いた「ヴィンテージ・プリント」(オリジナル・プリント)というのも見どころのひとつですね。
ジュリアは、ネガに傷をつけたりして、あえて手作業の痕跡を残すなんてこともやっています。
これも、写真を撮っている人には、とても興味深いと思います。

また英国好きとしても、興味を惹かれるポイントがいくつかあります。
1.ジュリアが写真を売り込んだのが「サウス・ケンジントン博物館」で後に「ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館」(現代も)。
2.ジュリアが住んでいたのがワイト島で、ここで住んでいた「ディンボラ・ロッジ」が博物館として公開されているらしい。
3.ヴィクトリア朝

そういえば「ディンボラ」って、紅茶の産地「ディンブラ」でしょうね。
セイロンに住んでいて、そこで亡くなったそうです。
「ディンボラ・ロッジ」はセイロンで住んでいた地名にちなんでつけられた名前だということです。
ワイト島は、この当時避暑地として有名だったそうです。
いや、今でも国内の避暑地として有名なのかな?

三菱一号館美術館 中庭
▲三菱一号館美術館の中庭も素敵♪

最後に、期間がもう少し残っています。
2016年9月19日までです。
ジュリア・マーガレット・キャメロンの生誕200年を記念し、ヴィクトリア&アルバート博物館が企画した世界6か国を回る国際巡回展であり、日本では初の回顧展です。
わたしは、とても興味深く、楽しく観ました。
写真好きな人にも、英国好きヴィクトリア朝好きな人にも楽しめる写真展だと思います。

もうひとつ!「三菱一号館美術館」の中庭が、英国の中庭(ヤード)みたいで素敵です。
またこの辺りを起点に、2階建てバスの観光バスが出ているので、まるでロンドンに迷い込んだみたいです。
是非、ロケーションも楽しんでください♪

三菱一号館美術館近くには二階建てバスが走っている

<関連リンク>
From Life-写真に生命を吹き込んだ女性「ジュリア・マーガレット・キャメロン展」@三菱一号館美術館