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映画『奇蹟がくれた数式』~違いを乗り越えてきた英国だから描ける物語

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映画『奇蹟がくれた数式』の試写会に行ってきました。
今回は、TwitterのVisit Britain JapanのRTキャンペーンで応募しました。
試写会は、2名招待が多いので、あまり応募していなかったのですが、行ってみたら、意外にひとりで行っている人も多かったみたいなので、これからは「もっと応募してみようかな?」と思いました。

映画『奇蹟をくれた数式』試写会

今回の『奇蹟がくれた数式』も実話で、英国と当時英国の植民地だったインドが舞台になっています。
主演は、デヴ・パテルくんで、インドからやってくる天才数学者ラマヌジャン役です。
対するジェレミー・アイアンズは、英国の名門ケンブリッジ大学トリニティカレッジのG.H.ハーディ教授役です。
このふたり、数学者という以外は、まったく逆とも言っていいくらい違うのでした。
ラマヌジャンは、数学も独学で学んだ、学歴も身分も低く、植民地インドからやってきた信心深く妻を愛する情熱的な男。
ハーディ教授は、もちろん学歴も高いが、神も信じなければ、愛する家族もいない、非常に合理的な男。
ハーディは、ラマヌジャンが直観でひらめく新しい公式を、証明することしか頭にない。
もちろん、それはラマヌジャンのためでもあるのだけれど、離れ離れになっている妻を呼び寄せたいラマヌジャンにとっては、いつ認められるのか、わからない焦りと、慣れない異国の地での孤独を募らせていってしまうのですね。

イギリスと植民地インド。
同じ数学者でも、合理的な現実主義者と、直観的な天才。
全く違うふたりが出会ったとき、、、と言いたいけれど、全く違うふたりが理解を深め、違いを乗り越えて友情に目覚めたときには、もうラマヌジャンが重い結核にかかってしまった後だったんですね。
それでも、インドに帰国するラマヌジャンは、きっと妻を連れて英国に戻ってくると信じていたのに。。。

映画の中に登場するエピソードでは、ケンブリッジ大学トリニティカレッジレン図書館が印象に残っています。
このレン図書館には、トリニティカレッジゆかりの人たちの本や手紙などがショーケースに展示されているのだそうです。
そのうちのひとつ、ニュートンの本が展示されているのをラマヌジャンに見せるのですね。
このトリニティカレッジは、ニュートンが万有引力を発見した場所でもあり、その万有引力を発見したリンゴの木も映画の中に登場していました!(現在、トリニティカレッジにあるのは、接ぎ木をした子孫の木なのだそうです。)
ラマヌジャンも、レン図書館に展示されているニュートンの本を見て「自分も!」と奮起したのでしょうか?
現在では、ラマヌジャンのノートも展示されているそうです。
他には、A.A.ミルンの「くまのプーさん」の原本などが展示されているそうです。
英国に行ったら、是非行ってみたい図書館が、またひとつ増えました。

ラマヌジャンが、公式をひらめくのは「神様が舌の上に乗せてくれる」のだと言っていたのも印象的でした。
まるで、数学の公式を舌の上で味わっているかのようで、真実を直観的、感覚的にとらえてしまう天才の発想法に近付けたような気がしました。(もちろん、わかるわけないのですが!)

数学というむずかしそうなテーマなのですが、ラマヌジャンにかかれば芸術のひとつのようで、また正反対のふたりが違いを乗り越え、友情を深めていく過程を追っていくうちに、わたしもラマヌジャンの魔術に魅せられてしまったようです。
デヴ・パテルくんという新しい世代の才能を得て、異人種間の友情など新しいテーマを表現できる幅が出来たのは、今後の映画界にとっても、とても楽しみなことだと思います。
出来れば、今後は悲劇の実話ではなく、みんなが幸せになる実話が観たいけれど。
様々な違いを乗り越えてきた英国だから描ける映画だとも思いました。

<関連リンク>
映画『奇蹟をくれた数式』公式サイト

<予告編>

<原作本>

無限の天才 新装版 ―夭逝の数学者・ラマヌジャン

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